何年前の3月だったか?
35年くらい前だろうか、、、
わたしは大学に入るタイミングで地元を離れた。
もともと地元を離れたくなかったので、さみしかったけれど、まわりの友達は喜んでいた。
わたしには、そういう友人達の気持ちがぜんぜん理解できなかった。
当時、とても心細かったのを思い出す。
しかし、あの頃の光景は思い出せない。
家での最後の食事も、思い出せない。
結局、出て行く側にとってはその程度のことだったのか、と思う。
当時の親の気持ちは、どうだったんだろう。
わたしの息子は、自分から「東京に行きたい」と言い出した。
たぶん、あの頃私が理解できなかった「喜び」が彼の中にあるんだと思う。
親にもいろいろいるんだと思うけれど、わたしは今度もとてもさみしかった。
あの時の何倍もさみしかった。
子供が上京するタイミングで東京に出張し、部屋を見た。
さんざん近所や学校を中心に歩き回って、足が痛くなった。
帰る間際にこんな手紙を部屋のポストに入れた。
数日前から想い出しています。
私のお腹の上ですやすや寝たこと。
サファリパークで鶏に追いかけられながら走って飛びついてきたこと。
いっしょにサッカーの試合に行ったこと。
病院に入院した時のこと。
中学に合格した時のこと。
いろんなことが頭をよぎります。
もう二十歳前。しっかりわかっていることばかりだと思うけど、それでも老婆心ながら、いくつか書かせてもらいます。
親とはそういうものだと思って読んでください。
しっかり勉強して世の中の役に立つ人になってほしい、私はあの頃勉強しなかったけど、、、
母さんに時々電話してあげてほしい、私は親不孝だけど、、、
かっこいい男になってほしい、私はかっこ悪いけど、、、
感謝して生きてほしい、私は今頃気づいたけど、、、
過去や未来にとらわれず、今を精一杯、現状起点にベストを尽くしてほしい!
なにより、とにかく健康でいてほしい!!!
PS.●●から応援しています。
たまには帰ってきてほしい。
もう少し長かったと思うけれど、こんな感じの手紙だった。
いろいろな想いが溢れすぎて、うまく書けなかった。
ていうか、ホテルで何回も何回も書き直した。
結局、元気でいてほしい、ということに尽きるのだが、それだけでは寂しいし、もっと何か言ってやりたいとも思っても、うまく書けない。
そのうちこっちだけ盛り上がっているような気がして、読み手の息子は、何言ってるの?となるのかなと、、、
前夜書いた手紙を、小遣いを少し入れてそっと部屋のポストに入れておいた。
用事があるからと、会わずに帰った。
東京駅で比較的空いていた串揚げやさんで昼食をとりつつビールを飲んで少し良い気持ちに。
東京駅も、人が多く、わたしの足はつりそうだった。
東京からの新幹線でもビールとサンドイッチで夕食にした。
少し眠ったかなという程度で自宅に到着。
静かになったけど、ほとんど変わりのない日常に戻った。
足の痛みだけが残っていた。
今回はちょっとセンチメンタルバージョンで書いてみました。
あなたも、たまには連絡してみませんか?